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【超簡単‼】経済学の思考法「ゲーム理論」の基礎を簡単に解説!

拘置所の中の男性 知識

「囚人のジレンマ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、経済学におけるプレイヤー間の利得競争を考える際のシュミレーションを簡略化したものです。

単なる思考実験としてみても面白く、現実の取引・駆け引きにも使える手法なので、ぜひここで理解していってください!

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囚人のジレンマ

まずは「囚人のジレンマ」について可能な限り簡略化して説明します。

このゲームでは、2人の囚人(今回は「ジャイアン」と「スネ夫」)をプレイヤーとして扱い、お互いに利益が最大となる選択肢を選ぶのが目的です。

設定はこうです。『近所の悪ガキ「ジャイアン」、「スネ夫」は窃盗の容疑でついに捕まってしまいます。2人が犯人であることは間違いないのですが、肝心の証拠がなく警察も頭を抱えていました。』

『そこで、とある警官が2人を別の部屋に移し、それぞれに取引を持ちかけます。「このままじゃ埒が明かん。もしお前が素直に罪を自白すれば、本来10年である刑期を1年にまけてやろう。ただし、黙秘を続けた方は15年の刑期を課す。2人とも黙っていれば証拠不十分で刑期は2年だ。」

つまり「ジャイアン」の立場からすると

  • 「スネ夫」が自白した場合

   自白すれば刑期が10黙秘すれば刑期が15

  • 「スネ夫」が黙秘した場合

   自白すれば刑期が1黙秘すれば刑期が2

という状況で、「スネ夫」もこれと同じです。『この時2人が取るべき選択肢は何か』というのがこの問題というわけです。

この問題の答えは、上記のことから明らかです。つまり、「スネ夫」が自白した場合も黙秘した場合も、「ジャイアン」は自白した方が刑が軽くなるので、自白するのが正しい答えとなります。

これは「スネ夫」にも全く同じことが言えるので、結局2人は自ら罪を告白し、10年の刑期を課せられることになるというのが論理的に考えられた答えになります。

しかし、10年の刑期を負うよりはどう考えても2人とも黙秘して2年の刑期を負った方が良いはずです。これが「囚人のジレンマ」という名前の由来です。

ゲーム理論的な解釈

上の状況を、ゲーム理論で用いられる用語で改めて整理します。まず、2人の囚人はそれぞれ「相手の選択によらず自白する」という絶対優位な選択肢(戦略)があります。

これを「支配戦略」と呼びます。そして、お互いが支配戦略をとった結果(利得)のことを「ナッシュ均衡」と呼びます。

このゲームでは、お互いがお互いの利益を最大化しようとしたために「ナッシュ均衡」の形でゲームが終了しましたが、本来最適な選択肢は「お互いに黙秘して刑期を2年にすること」であったはずです。

この状況を「パレート最適」といって、全プレイヤーの利得が最大になることを指します。

このゲームの面白いところは、「個人の利益最大化」と「参加者全員の利益最大化」が両立しないことと、「相手の選択肢が分からない」です。実は、これを現実で活用した面白い例があります。

リニエンシー制度

「リニエンシー制度」という言葉は聞き慣れない方も多いでしょう。

「リニエンシー制度」とは、談合(競争を行わず取引などで入札価格を引き上げたり、金額を操作して事業を進める犯罪行為)を摘発する制度で、談合の一員は先着で談合の内容を自白でき、罪が減免される制度のことで、日本でも施行されています。

これはまさに「囚人のジレンマ」のように、「個人の利益最大化」と「参加者全員の利益最大化」の両立ができず、裏切りが最も論理的な選択肢となることを利用しており、実際にこの制度が出来てからは以前と比べて摘発数が3倍になるという結果が出ています。

「ゲーム理論」で見るリニエンシー制度

※ここからは数学的な内容を含むため、話の難易度が上がります。本筋とはズレるため読み飛ばしていただいても大丈夫です!

では、実際にリニエンシー制度の状況を考えてみましょう。今回は、

  • 談合による罰金は10億円
  • 相手が先に自白した場合は相手の罰金も含めて支払う
  • 何もしない場合は5%(1/20)の確率で摘発される
  • 相手より先に自白できる確率は50%(1/2)

このような状況を想定します。これをA社、B社のうちA社の立場で考えると

  • 「B」が黙秘した場合

   自白した場合の罰金は0黙秘した場合の罰金の期待値は(1/20)*10^9=5000

  • 「B」が自白した場合

   自白した場合の罰金の期待値は(1/2)*10^9=5億黙秘した場合の罰金は20億

したがって、「相手の選択によらず自白する」が支配戦略となり、奇しくも「囚人のジレンマ」ゲームと同じ結論にたどり着くわけです。

まとめ

今回はゲーム理論の基礎について簡単に解説しましたが、いかがだったでしょうか。

実際の駆け引きにおいても、自分と相手の取りうる選択肢を場合分けし、それぞれの結果を考えるようにすれば正しい選択肢を選ぶ手助けになるので覚えておいてください!

倫理学の思考実験である、「トロッコ問題」についても記事にしているのでよろしければぜひご覧ください!

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