「人間の印象は見た目が9割」という話を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
この話は心理学的に正しい側面もあるのですが、この「見た目」という表現の解釈が“誇張して”表現されていることから、勘違いされている方も多いのです。
今回はそんな”人の印象にまつわる話”についてご紹介していきます!
人間の印象は見た目が9割って本当?
結論から言うと、この風説は「間違いではないが、正確でもない」ということになります。
どういうことなのか簡単に説明していきます。
例えば、面接の場面を思い浮かべてみてください。
その時、面接官は何をして、何を感じているでしょうか?
- 履歴書の確認
- 口調や仕草を見る
- 表情を見る
- 質問に対する反応を確かめる
など、限られた時間で“生い立ち”から”コミュニケーション力”に至るまで、さまざまな観点から相手を評価していますよね?
しかも、あくまでこれは意識的に行われる内容に過ぎず、無意識下の印象はこれらの比ではない。
というのが、この風説が言わんとしていることです。
でも、”職業”や”口調”を『見た目』と言い張るのは少し無理がありますよね?
この点が、冒頭で「間違いではないが、正確とは言えない」と結論付けた理由になります。
人間の印象を決める意外な要素
では、実際に相手の印象を決めているのはどういったものなのでしょうか?
最新の研究で明らかになった“心理学”の効果を踏まえて、意外なものをいくつかピックアップしてご紹介していきます!
社会的地位
実は、”職業”や”影響度”といった、「社会的地位」も相手の印象を決める重要な要素の1つです。
例えば「Aさんは俳優をやっている」や、「インスタのフォロワーが30万人もいるらしい」、「無職だ」などの情報を与えられたとします。
すると、実際に会ってもいないのに“尊敬“したり、“見下したり”を無意識のうちにやってしまうことがありませんか?
これを心理学的には「認知バイアス」(簡単にいうと、情報による先入観)と呼びます。
また、それらは相互に影響しあい、相手の評価をさらに極端に変えてしまうものなのです。以下では例を用いて簡単に説明します。
ハロー効果
“ハロー効果”は、バイアス(いわゆる先入観や偏見)による効果の1つです。
これは、目立つ特徴に引っ張られて他の評価にまで影響を及ぼしてしまう現象を指し、その特徴から①ポジティブ・ハロー効果と②ネガティブ・ハロー効果に分けられます。
- ポジティブ・ハロー効果
人を評価するときに、「ある特定の項目」で優れていると感じた時、それとは直接的な因果関係のない項目までも優れていると評価すること。
例)Aさんが東大卒であるとする。本来、それはAさんの能力や人間性とは関係のないことのはずだが、実際に確認することもなく、「Aさんは仕事ができる」「Aさんはモテる」などと評価してしまう。
- ネガティブハロー効果
“ポジティブ・ハロー効果”とは逆で、「ある特定の項目」で劣っていると感じた時、それとは直接的な因果官営のない項目までも劣っていると評価すること。
例)Bさんは友達が少ないとする。これも本来、Bさんの能力や人間性とは関係のないことのはずだが、実際に確認することもなく、「Bさんは性格が悪い」「Bさんはコミュニケーション力が低い」などと評価してしまう。
もちろん、東大卒であれば仕事を覚えるのも早いかもしれないし、相手への思いやりもできる人なのかもしれない。
しかし、あくまで“そうした傾向が強い”や、“役に立つ可能性が高い”(逆も然り)というだけであるはずなのに、あたかもそう決まっているかのように評価してしまうというのが、この“ハロー効果”なのです!
自分との相違点
社会性を持つ種族である”人間”は、集団を形成した時に不和を生まないよう、自分と共通点の多い人間を好み、逆に相違点の多い人間とは距離を取る傾向にあります。
しかもこれは、「趣味の合う人と一緒にいたい」といったことはもちろん、ただ“誕生日が近い”や“弟がいる”、“同性”といった共通点でさえも“親近感”、”好印象”といったイメージがつくものなのです!
この効果を利用すれば、簡単に相手に好印象を抱かせることも可能なのです。
これを使ったテクニックとしては“YESセット効果”が有名です。こちらの記事で詳しく解説しているので、気になった方はぜひ!⤵
周りの人間からの評価
“自分以外の人が下した評価”というのも、相手の印象を決めるうえで重要な要素の1つです。
事前に「Aさんは性格が悪い」「Aさんは頭がいい」というような話を聞いていると、そうした部分にばかり目が行き、少しでもそう感じるとその印象をより強く感じてしまうという経験はありませんか?
このように、意識しているものの情報ばかりを集めるようになる現象を、心理学では“カラーバス効果”と呼びます。
例えば、占いのラッキーカラーが「赤」と言われた日は赤色のものがよく目につくようになり、「運がいいと思った時、いつも赤色が近くにあるから占いは当たっている」と感じるようなことも、これにあたります。
占いに傾倒する人には、こうしたバイアスがかかりやすいという方が多いので、心当たりのある方は注意しておきましょう。
満場一致のパラドックス
人がいかに「周りの意見に流されやすい」かを示す話に、“満場一致のパラドックス”というものがあります。
端的に言うと、「多数決で少数派が(ほとんど)いない結論は真っ先に疑うべきである」という話です。
これは先ほども少し触れた“認知バイアス”による現象の1つで、特に「自分に直接関係のない」ことや「少しは知識があるが、あまり詳しくない」事柄について非常に起こりやすいことの1つです。
「自分の発言に責任を負いたくない」「誰かが間違いを指摘するだろう」という心理から、より責任の少ない多数派を無意識に選んでしまうことで起こる現象です。
実際に、冤罪事件の多くは証人全員が間違った犯人を指摘していること、独裁・戦時中の国家では国民がその異常性に全く気付かないことからもそれが窺い知れるのではないでしょうか。
認知バイアスは、その存在を知っておくだけでもある程度軽減されるものなので、客観的に物事を考える姿勢を忘れないようにしましょう!
まとめ
今回は“人の印象”を決める要素についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
容姿や話し方以外にも、こうした細かな点に気を配っていくことで相手のからの印象を良くし、物事を円滑に進められるようになるので、今後の身の振り方の参考にしてください!
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